秘密儀軌ツアー 一ー26ーc5

 五巡目の三
 niftyココログからのつづき

 マッターホルンの正統派の拠点に移ってナポレオンが自伝を読まされていた頃、こちらにはとんでもない妨害操作が仕掛けられていた。ニュージーランドの幽界を私有地として買い取ってほしいという依頼が、眠っているこちらに入ってきたのである。ニュージーランドを買う件については以前からこちらに依頼があって、その都度その可能性について確認をとっていたのであるが、買うことはできても意味がないということで、結局うやむやになってしまっている案件であった。
 今回は三回目で、しかも眠っている状態でなされたもので、こちらがどんどんその話を進めていく展開になっていったのだった。それはナポレオンのロビンソンクルーソー問題にかかわる内容のもので、五台のヘラクレスに対して、六台のナポレオンの拠点確保のために必要となるものだ、といった感覚で事が進んでいった。
 ナポレオンの奥に混沌としたものがあって、それが何なのか明確にできない状態での手探りであったが、ニュージーランドの幽界を買い進めていく途中で目が覚めた。起きて確認をとってみると、異次元では現実にそれが進行していたのだった。ニュージーランドの幽界はほとんど手付かずの原野であって、ナポレオンを中心にした五十名ほどのメンバーが、佐田が買い取ったニュージーランドの原野を、整備しなくてはならない状態になっていた。
 現実のこちらからしてみるととんでもない話であるが、旧体制側にしてみると、そこには素晴らしい自然があり、別荘感覚の避暑地としては最高の環境が整っているということで、贅沢な遊び場として確保したい意図が以前からあったのである。それをナポレオン対策としてこちらに確保させようとしていたのであった。
 仕組みの総合先導役の私有地として確保させて、そこに入り込んで乗っ取る、それが伏魔殿側の目的なのであるが、物質人間のこちらのものとしては、確保してもほとんど意味がない。しかしナポレオンの拠点としてそれを確保すれば、それなりの意味は出てくる。それで実際にそこが拠点として成り立つものかどうかの確認作業が、かかわりのある各地の担当者によって進められていったのだった。
 あまりにも突拍子のないことなので、幽界現場のことはあちらにまかせて、こちらは生活現場での権利を行使して東京まで出かけ、半日ほどあちらとの接触を断ったのだった。自宅に帰ってあちらの動向をうかがってみたところ、大変なことになっていた。
 ナポレオンを中心にした五十名ほどのメンバーで、生活環境を整えるための探訪とか整備が進められていったのであるが、外出したこちらが帰宅してそのあとの確認をしたとき、彼らは深いヘドロの中に埋もれて見えなくなっていた。それは仕組みで常々こちらが廃墟宇宙のヘドロの底を掃除する領域と同質のもので、結局その大掃除の課題をナポレオン達とこなさなくてはならないのだった。そしてその作業が終わったとき、ナポレオンはエリゼ宮に戻っていた。
 結局マッターホルンでまともな働きをしてもらいたくない伏魔殿の策略に乗せられて、とんでもない迷路に誘い込まれてしまっていたのだった。
 
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