ヒットラーは仕組みに目覚めて正常化してからあとの長い年月、じっと辛抱し続けて宇宙の高みに登ろうとはしなかった。ナチスのツケを払うためかとも思われたのであるが、どうやらそれだけではなかったらしい。そのことがわかったのは、彼がゲルマン神話の英雄ジークフリート系のスサノヲであることが判明してからのことであった。
彼がじっと待っていたのは、セット女のブリュンヒルデの出現だったのである。そのブリュンヒルデをアイスランドの本体から引っ張り出すことに成功した時、彼は大喜びして月にまで迎えにいった。しかし何かが変でブリュンヒルデがまともになることができないままだった。
それがここに来て急展開し始めたのである。ジェロニモとサナダーラに誘われるようにしてナポレオンとアメリアが魔神化して金星に上がったあと、それを追うようにしてヒットラーとブリュンヒルデも金星に向かったのである。ということは彼らも魔神化しなくてはならなかったということになる。
そこで問題になるのは、魔神には白と黒があって、エネルギー的には白と黒でバランスは取れるけれども、夫婦としては問題が起こるというところにある。現代の宇宙では黒魔神と白魔神が夫婦としてセットを組むことはないので、分かれなくてはならなくなる。分かれて別の同系の相手とセットを組むことになるからそれでいいことになるわけであるが、ヒットラーの場合、それがどうなったのかというところに関心が向かうことにならざるをえない。
金星でその答えが出たのであるが、月にいたブリュンヒルデはジークフリートのセット女で白魔神、ヒットラーの場合は生前自分のそばにいた女性が金星で黒魔神化して待っていたのであった。その二重セットが完成してめでたしめでたしとなった、というお話である。
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