秘密儀軌ツアー 一ー18ーc

 楽天からのつづき
 ソローは小説家ではない、とさっそくいちゃもんがつけられた。そう言われればそうかな、と思ってみたものの、学者ではないし、自然主義者といっても文学畑でしか書物は扱われていなかったような気がするがなあ、なんて自分で言い訳してみたが、やはりすっきりしない。
 なぜこうなったかということの背景を紹介すると、実はソロー大神からの自薦の意思表示があったからなのである。文学者領域で探していたところなので、すぐ乗っかったのであるが、実は名乗り出る方々は非常にまれなのである。というのも総合先導役がらみで名前が出ると、格好の攻撃目標にされるので、そのことを皆さん恐れて名乗り出さないし、他薦で名前が上がっても拒絶する者がほとんどで、こちらが顕彰して差し上げられない苦しさがあるのである。
 たとえば「指輪物語」で有名なトールキン氏などは、仕組み小説を堂々と発表して大スターになった小説家であるが、この方はなかなか初代代表レベルまでは到達できない状態であられる。そこに到達するまでの小さな宇宙の代表には三度なっておられるということなのであるが、六台レベルの五千億の一つの宇宙の代表になるということは、相当大変なことなのである。
 その代表にアガサ・クリスティ大神は、仕組み初期の段階でアッという間になってしまわれた。この違いは何なのだろうか、と常々考えるのであるが、今ひとつ明確にはできないでいる。ソローという方はその代表に三度なっておられるのだそうである。
 そのことはともかく、このツアーは実は文学者だけではなく、芸術家全体を対象にしようと予定していたのであるが、やはり対象が大きいために無理があり、羽目が外れてしまった。ソローを庭師扱いにすれば、自然主義者でも芸術家扱いにできるのではないか、などと周囲が気を使ってくれている。合衆国にほかの文学者を探しても、ソローを超える者がいないからである。
                                               次はニフティで。